変わったもの。
整形する為に中心街に出た。
久しぶりの街。
まったく別物になった街。
駅なんて全然変わってた。
出産する前から数えて半年ぶりくらい。
なんか全然違ってた。
都会っぽくなってて、びっくりした。
それ以上に変わったもの。
それは、自分自身だった。
いままで金融機関に勤めていた時は、ピンヒールにバッチリ化粧を決めて、
ちょっとの乱れも許さない髪型。
毎週買いに行った新品の高い服を着て。
プライド振りかざして、
きっとわからないくらい、気づかないくらい、自分以外の人のことを沢山見下して生きていた。
毎日激務で大変で1ヶ月でダイエットしなくても5キロ減。
街に出てくることも当たり前すぎて、うんざりしてた。
景色なんて楽しむ余裕なんてない。
帰りの電車で号泣しながら帰ったこともあった。
毎日幸せについて考えていた。
ただひたすら、両親に恥じないように勤めてきた。
私が期待の星だったから。
誰のために毎日仕事してるのかわからなかった。
私は一体なんなんだろうって、毎日考えてた。
でも、今はなんだ?
ピンヒールはスニーカーに変わって、
あれだけ気にしていた髪型だって、風が吹いたって御構いなし。
人が気になって下向きになっていた顔は常に前を向いて、風をきっている。
今は、守りたいものがある。
それは自分のプライドなんかじゃない。
ただひとつの宝物。
自分の服が買えなくったって、幸せなんだよ。
美容室に行けない?
それは不幸なことじゃないよ。
毎日やることづくめで、忙しくて、充実した日々。
家族の笑顔を見ることがほんとに幸せなんだよ。
充実してる毎日にしてくれる娘に感謝しかないね。
自分のことよりも最優先してやってあげたいと思える存在がいる。
この子のために強くならなきゃと思わせてくれる存在がいる。
幸せ以外の何者でもない。
自分の時間を考えるよりも、誰かの幸せを考える方が、結果的に自分が幸せになるって気が付いた。
毎日両手にかかえきれないほどの欲望しか持っていなかったのに。
足りない、足りないって不安になっていたのに。
今は、これ1つで充分!って思えるマインドがある。
ぁあ〜この感覚、銀行をいきなりやめて、
夢をおっかけた時とまったく一緒だ。
全部がキラキラしてるってやつだ。
幸せだな。
早く帰ろう。
家族が待ってる。
何も持ってなくて、無条件で優しくしてくれる人たちに会いたいな。
ムスメにまた笑って欲しいな。
抱きついて欲しいな。
遠くったっていいや。
全部なげうっても、大事なものがあって、それを忘れずにいられれば。
そしたらずっと幸せでいられる。
欲望があったっていいんだよ。
だって人間だもの。
ただ、数を1つに絞っただけ。
1つに絞るとなんでだろう?
目標がより明確に濃くなっていく。
ありがとう、感謝します、十分です、その言葉でいっぱいになる。
たった1つでいい。
それだけで充分です。